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reach outな制作でした

2022年8月19日
コラム
やまだ

少し前、上野の森美術館で行なっていた『木梨憲武展 Timingー瞬間の光ー』を見に行ってきました。新型コロナウイルスの影響により延期になっていたもので、2年越しで東京での開催となったものでした。会場はかなりの大盛況で、カラフルな絵、ダンボールやお菓子、薬などの空き箱でつくられた変な顔(いや、かわいい顔)のモチーフ、アルミやプラスティックで作られたオブジェなど、楽しい作品がたくさん展示されていて、大いに楽しめました。

 

細かい! たくさんの繋がっている手と顔が描かれています。

ガラスで作られた手のオブジェたち

 

たくさんのアルミ板で作られた「手」が、これでもかと積み上がっています。

 

そんな中でいくつもの作品タイトルに『reach out』という言葉が出てきました。その時にはなにげなく見ていましたが調べてみると「手を差し伸べる」という意味があるようです。さらに「reach outo to~」となると、人または人のグループとコミュニケーションをとることを意味し、通常は彼らを助けたり関与したりするという意味合いで使うそう。

そのタイトルがつけられている作品は手をモチーフにした絵やオブジェが多く、ご本人が書かれたもの、町の工場の人たちの協力で作られたもの、その土地で交流のあった人たちと共同で制作したものとさまざまな形でreach outを表現していました。

 

一見するとたんぽぽの綿毛のように見える「手」の集合体

 

 

さて、その展覧会の少し後、私が制作していた本が出版されました。

その名は『CRA-SEW(クラソウ)』。クラフト+ソーイングを合わせた造語で、洋服や小物をつくる手作りの本です。弊社で制作を全て任された本で、年4回の季刊誌。この出版不況の中で、久しぶりの雑誌スタイルに近い本です。社内デザイン部を中心として、それはそれはたくさんの方にご協力いただきました。まさに「reach out」な状態。

 

『CRA-SEW vol.1』創刊号
(日本ヴォーグ社刊)

 

それぞれ関わっている方がきちんと仕事されているのは当然なのですが、私の中では未経験な部分や予測ができない部分も多く、かなり右往左往してしまいました。そしてそれをかなりの多くの方から「reach out」していただきました。

ただの「不甲斐ない自分」が露呈した話ではあるのですが、それよりも多くの人が関わり、それぞれが自分以外の人にも気を掛けて進めている、協力し合って進めているということに、たくさん救われた気がします。

このところチームを組んで行う仕事が少ない中、貴重な経験をしながら制作したこの本が、少しでも長く続いていくことを願うばかりです。

あ、当然、私も相当頑張らなければならないんですけどね。

やまだ
デザイン部所属。冬でも冷たい飲み物、アイスをよく食べる無類の冷たいもの好き。そのおかげ(?)か、最近、代謝が悪いことを自覚中。