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~ロケの細道~Part2 富山県立山で初夏の大雪原と黒部ダムを訪れる

2019年12月2日
取材・ロケ
高橋 敦

こんにちは。前回の投稿では高知県仁淀川でのロケの様子をお届けした、新米編集者の高橋です。

早いもので、入社してからもう一年が経ち、編集者2年目となってしまいました。ですが、まだまだ一人前には程遠い……。既に新しい新入社員も入ってきており、焦りが出ている今日この頃です。

しかし、相も変わらずアウトドアを中心に各地へロケや取材をしており、今回もその様子をお届けしようと思います。(むしろこれ以外ネタにできるようなのがなく…。)

立山黒部アルペンルートの取材へ行ってきました

取材をしたのは5月中旬。ですが、見ての通り写真は一面の雪景色。私はスニーカーで家を出たことを激しく後悔していました。

 

取材先は「立山黒部アルペンルート」と呼ばれる、富山県の立山駅と長野県の扇沢駅を結ぶ交通路。北アルプス立山連峰の険しい山脈を、総距離37.2kmをかけて開通させた、世界有数の山岳観光ルートです。

このルートを通るには様々な乗り物を乗り継いでいく必要があり、この乗り物を子どもや親御さん向けに紹介するという内容の仕事でした。

スタートは富山県の立山駅にある「立山ケーブルカー」に乗り、急斜面に沿って一気に山の麓まで登ります。そして「立山高原バス」という、写真に写っている雪原のなかを進んで行きます。

 

5月というのにこの積雪量。見た瞬間はとてもびっくりしましたが、まだまだ驚くのは早かったです。

 

終着点近くの窓から撮ったのがこちら。前の写真よりもはるかに高い雪壁が現れ、バスよりも高いです。

それもそのはず、ここは「雪の大谷」と呼ばれる立山のなかでも特に積雪量の多いエリアで、観光名所として有名なところ。

このときは5月中旬のため5~8mほどの高さでしたが、4月の一番高いときはなんと最大20m、長さ500mにもわたってこの雪壁が続いているそうです。ぜひ画像検索してそのスケールを見てみてください。

アルペンルートの中心地「室堂」へ到着

高原バスを降りて到着したのが「室堂(むろどう)」。かつては山岳信仰のために修行者が宿泊や祈祷を行っていた場所で、現在はビジターセンターや博物館がある観光の拠点となっています。
とはいえ標高は2450mとかなり高く、寒さも厳しいです。写真に写っているのは実は「みくりが池」という池で、5月というのにまだまだカチカチに凍っていました。

 

そしてここで体験できるのが「雷鳥探索トレッキング」。
立山の室堂周辺にはライチョウと呼ばれる、高山地帯に生息するキジ科の珍しい鳥がおり、特別天然記念物にも指定されています。このライチョウをガイドさんの案内で探索に行くのですが、ご覧の通り歩道は雪に埋まりもはや雪山登山状態。

 

私も含め同行している全員がヘトヘトに。雪道で足が取られるうえ、標高の高さで酸素も薄くなっているので本当に過酷でした。もっと気軽に楽しめるイベントだと思っていたのに……。

 

これでライチョウを見つけられなかったら、取材的にも、全員のモチベーション的にもまずい……。そう思っていたとき!

颯爽と山の上から1匹のライチョウが滑空してくるではありませんか!

ライチョウはキジ科のため基本的には飛ぶことはできないのですが、数メートル羽ばたいて滑空することはできるんです。

全員が最後の力を振り絞り猛ダッシュで追いかけると、まるで撮ってくれと言わんばかりの岩の上のベストポジションに!

 

逃げないように静かに、けれども確実に距離を詰めていき、見事写真に収めることができました! この写真はわたしのスマホで撮ったものなので映りはイマイチですが、カメラマンさんはばっちりキレイに押さえています。

みな一同に喜んだこの瞬間は、とても印象に残っています。こういう奇跡的なことが起きたりするので、取材は面白いなとあらためて思いました。

いよいよ圧巻の黒部ダムへ

室堂から今度は立山を通り抜ける「立山トンネルトロリーバス」に乗り、さらに「立山ロープウェイ」に乗って降りていきます。

このロープウェイを見て、なにか気付く点はないでしょうか?

そう、駅と駅の間にロープを支える柱が1本もないんです。

ワンスパン方式」とよばれる方法で、ロープの端に「重すい(じゅうすい)」という1つあたり85tもある重りを全部で4つ操作することで、1700mもあるロープをたるむことなく運行させることができるんです。ちなみにこの長さは日本一。

そもそもなぜこのワンスパン方式にしたかというと、見ての通り冬は斜面が雪に覆われ、雪崩が頻繁に発生します。そのため柱が倒されてしまう危険があるので、この方法にしたという訳です。

また支柱がないことによって、ロープウェイから360度の大パノラマを楽しむことができるのも大きな利点となっています。

さらにさらに「黒部ケーブルカー」に乗って斜面を下り、徒歩で数分行くとようやく「黒部ダム」に到着!

前から名称は知っていましたが、初めて目にしてみるとスケールの大きさに唖然としました。写真に写っている人の大きさを見てみれば、この巨大さがよくわかると思います。

そしてこの小さな人の手によって、これが作られたことにまた驚きを感じました。一体どれだけの時間と労力がかかったのだろうかと。

多くの犠牲と不可能に挑んだ歴史

黒部川を中心に、富山県は大自然に対して人の道を作るという、多くの偉業を成し遂げた歴史があります。

先ほどまでの立山黒部アルペンルートともう一つ、北側へ流れる黒部川に沿って開発された、黒部峡谷鉄道へもこのロケでは取材を行っており、この写真は黒部峡谷の資料館で展示されていたものです。

ここに書かれているのは、完成までにかかった時間や資金、そして事故などで犠牲になった人の数です。

アルペンルートでも同じように、資料館では多くの労力と犠牲についての歴史が語られていました。そのため黒部ダムには慰霊碑も建てられており、そこには黒部ダム建設にあたって殉職された171名の名前が記載されています。

今現在、観光地として完成し、わたしたちがこうして楽しむことが出来ているのは、こんなにも多くの犠牲の上に成り立っていること。ベタですが、あらためて身の周りにあるたくさんの当たり前の物事に、しっかりと感謝しなければと思いました。

以上、今回の立山黒部アルペンルート取材の様子についてお伝えさせていただきました!

本当は他にも黒部峡谷の写真や美味しい富山の料理、現在制作中の釣りの本に関しても載せたかったのですが、長くなりすぎるため、また次回お伝えできればと思います。

それではまた「~ロケの細道~Part3」をお楽しみに!

高橋 敦
フィグインク所属。アウトドアからアニメ漫画まで幅広く興味関心をもつ。これからはアウトドアを中心に知識に”深み”を出していきたい。現在アウトドアWEBメディア「CAMP HACK」や「ソトレシピ」を担当。